Apollo Intensa Emozione '2017

どこもかしこも刺々しい攻撃的なスタイル、ドイツのスポーツカーメーカーのApollo Automobilのマシンと呼びたくなるような車両。

レース車両のような極めて低いドライビングポジション、盛り上がったフェンダー。リアセクションにおける巨大な空力的造作。とてもこれが純正仕様であるとは信じられないデザインである。外観からも現実的なロードカー「Apollo Arrow」から多くのコンポーネンツを流用していることが分かる。なお、パワートレインは6.3リットル780馬力のフェラーリV型12気筒エンジンから、最大出力780hp/8500rpm、最大トルク77.5kgm/6000rpmを引き出すとのこと。

この手の個性的なスーパーカー市場ではKoenigsegg Automotibe AB やPagani Automobiliが有名であるがApolloも前身の Gumpert Sportwagenmanufaktur GmbHから考えるとそれなりに設立から時間が経っているメーカーである。しかし、 Gumpert時代はそのあまりにも個性的なスタイリングは非常に好き嫌いが分かれ、尚且つ好む人があまり多くないとしか思えないデザインだったためか分からないが、一度経営破綻している。それに比べるとこの車両はデザインの完成度はともかく、見るからに攻撃的で車としてかっこいいと思わせるようなディティールをこれでもかと入り込んでいる。少し下品なくらいに。

跳ね上げ式のドアを持ち中央に寄った運転席と助手席の配置は、高いパフォーマンスを感じさせる。フロントエンド下部に巨大なスプリッターが見え、レースマシンであることを主張している。いたるところに空力的な造作が見え、整流やダウンフォース獲得のためにかなり複雑な形状となっている。正面から見るとそのボディーワークは信じられない程大きく開口しており、ボンネットにもドラッグ低減用の大きな開口、塊感は非常に薄い。実際の使用では問題ないのであろうが、何かある度にすぐに破損してしまうのではないかと不安になる

サイドから見てもフロントオーバーハングは完全に空力的な目的にのみ使われるようである。タイヤも非常に巨大であり標準で装備されているホイールのスポークは極細である形状から、おそらくブレンボであると想定されるそのブレーキキャリパーも出来る限り大きなものが使われる。ドライバーは前後のホイールのほぼ中央に位置しており、キャブフォワードなミッドシップ車両に対して違和感なく運転できるもと思われる。特徴的なのは市販車でありながら巨大なシャークフィンを思わせるリアウイングの支持を持つことである。また、リアセクションの造形も空力的なパーツのためリアホイールから大きくせり出している。

リア側から車両を見ると上部は空気をきれいに整流するため覆われているものの、下部に関してはドラッグ対策とダウンフォース獲得のためにボディワークが施されているが、タイヤが見えても頓着しないようである。一方で排気管のエンドは必要があるのかと疑問に思うくらい装飾的な造形が施されている。

ステアリングホイールは上部がなく、前方の視界を確保しており基本的にはステアリングホイールを持ち替えることを前提に設計されていない。機能ボタンの殆どがステアリングホイールに備え付けられており、明らかに後付のカーナビなどが付くスペースは備えられていない。旋回中の高いGに備えるためか大きなニーパッドが当たり前のごとく備え付けられている。真紅のシートは左右一体であり、シートベルトは4点ないしは5点留めが与えられている。左右一体のシートであることから、ペダルポジションについてはペダルが前後に動いてアジャストする方式ではないだろうか。

構造としてはカーボン成形のドライバーシェル、その前方に大型の金属製のサブフレーム、後方にはカーボン製の構造材をスペースフレーム状に配置している。ロールケージは金属製で車両としては大きなで柱を行わずともロードスターができる構造となっているものと思われ、この構造によりボディワークの自由度相当に大きなと推測される。サスペンションは前後共にプッシュロッド式ダブルウィッシュボーンサスペンション。リアサスペンションについては設置性にかなり考慮した設計がなされている。ホイールはセンターロック式が採用されており、この部分だけ見てもレースカーであることを感じさせる

フロアはシートとほぼ同形状に整形されており、シート自体は緩衝材としてしか機能しない。この図ではエンジン及び駆動系の要素を窺い知ることはできないが、排気管の配置からv型12気筒エンジンのバンク中央から吸気を行い、排気はリアサスペンションのアッパーアームおよびロアアームの間を通り、リアサスペンションの後部から排気管を一旦持ち上げ左右一本ずつの排気管を3本の配管に分ける集合管ならぬ分岐管が付けられいる。その効果を説明して欲しいとこである。また排気管には触媒もマフラーも確認できないため、法規的に日本の公道を走れるかは大いに疑問である。


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